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LPガス発電機とは? メリット・デメリットやディーゼル発電機との違いを解説
自然災害が発生した際には、大規模な停電が発生することもめずらしくありません。福祉介護施設などにおいては、災害発生を想定した対策を講じておく必要があります。非常用電源の確保に役立つ対策の1つが、「LPガス発電機」の導入です。
この記事では、LPガス発電機の特徴や導入するメリット・デメリットについてわかりやすく解説しています。災害時にガスを直接供給できる「災害バルク貯槽」や、LPガス発電機導入に際して利用できる補助金にもふれていますので、ぜひ参考にしてください。
LPガス発電機とは
はじめに、LPガス発電機の主な特徴を紹介します。LPガス発電機の基本的な仕組みや、ディーゼル発電機との違いを整理しておきましょう。
LPガス(液化石油ガス)を燃料とする発電機
LPガス発電機とは、LPガス(プロパンガス)をエネルギー源とする発電機のことです。停電し、系統電力の供給が停止した際にも、備蓄されているLPガスを利用して電力を供給できます。
LPガスを利用して発電する仕組み
LPガスによる発電の基本的な仕組みは次のとおりです。
- バルク貯槽またはシリンダー容器からLPガスが供給される
- LPガスを燃料としてエンジンが駆動する
- エンジンを動力として発電機を回す
- 発電機が電気をつくる
バルク貯槽とは、LPガスなどを貯蔵するための大型容器のことです。一般的なガスシリンダーと比べて大容量のため、多くのLPガスを使用する施設などに設置されています。
ディーゼル発電機との違い ⇒ 供給できる電源の違いを表したい
ディーゼル発電機とは、軽油を燃料として使用する発電機のことです。LPガス発電機よりも対応機種が豊富で、設置時の初期費用を抑えられる点に特徴があります。一方で、LPガス発電機と比べると稼働時の振動や騒音が大きい傾向にある点がデメリットです。下表は、LPガス発電機とディーゼル発電機が供給できる電源の違いを示しています。
LPガス発電機 | ディーゼル発電機 | |
---|---|---|
出力容量 | 8kVA〜50kVA程度 | 20kVA〜1,000kVA以上 |
主な用途 | ・一般家庭 ・小規模施設 |
・建設・工事現場 ・工場・プラント ・医療機関 ・商業ビル など |
したがって、用途や使用環境に応じてLPガス発電機とディーゼル発電機を使い分けることが大切です。後述するLPガス発電機のメリット・デメリットを踏まえて、導入すべき発電機の種類を見極めましょう。
LPガス発電機のメリット
LPガス発電機の主なメリットは次の4点です。
- メリット1:燃料を保管・管理しやすい
- メリット2:振動や騒音が少ない
- メリット3:環境にやさしい
- メリット4:災害時の電源供給に役立つ
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット1:燃料を保管・管理しやすい
LPガスは劣化しにくく、シリンダーに充てんされた状態で約20年間にわたって保管できます。災害時など、いざという時に安心して利用できる保管性の高さはLPガスの大きなメリットの1つです。
メリット2:振動や騒音が少ない
稼働時の振動や騒音が比較的少ないことも、LPガス発電機のメリットといえます。LPガス発電機が静音性に優れているのは、タービンの軸回転によって電力を供給するからです。一方、ディーゼル発電機はピストン運動によって動力をつくり出す構造上、エンジン音と振動が大きくなりやすい傾向があります。静かな環境で発電機を使いたい場合には、LPガス発電機のほうが適しているケースが多いでしょう。
メリット3:環境にやさしい
他の燃料と比べて、環境への負荷が比較的少ないこともLPガスの特徴です。LPガスは燃焼効率が高く、CO2やNOxなどの排出量が少ない傾向があります。環境に配慮したエネルギー供給が可能になる点は、LPガス発電機のメリットの1つです。
近年は脱炭素社会の実現に向けて、事業者にもCO2排出量の削減が求められています。環境負荷をできるだけ抑えられる発電方式を選択することは、企業の社会的責任を果たす意味においても重要な取り組みといえるでしょう。
メリット4:災害時の電源供給に役立つ
LPガスは災害に強いエネルギー源です。容器に充てんして必要な場所で利用できる「分散型エネルギー」のため、都市ガスの供給に必須のガス管が使用できない状況下でも専用の運搬車両などでLPガスを供給できます。
また、災害時の供給・配送体制が強化されており、安定的に供給される点もLPガスの強みです。ディーゼル発電機の稼働に必要な軽油は、利用者が自ら調達しなければなりません。一方、LPガスはガス会社による配送体制が確立されているため、利用者自身が運搬することなく調達できます。このように、災害時の電源供給に役立つことはLPガス発電機の大きなメリットの1です。
LPガス発電機のデメリット
LPガス発電機には多くのメリットがある一方で、デメリットとなり得る面もあります。主なデメリットとして挙げられるのは次の3点です。
デメリット1:対応機種がやや少ない
LPガス発電機は、ディーゼル発電機と比べると製品ラインナップが限られる傾向があります。LPガス発電機の製造・販売を手がけているメーカーそのものがディーゼル発電機よりも少ないため、導入する機種の選択肢が狭くなりがちです。
対応している出力に関しても、ディーゼル発電機ほど幅広くはない可能性があります。LPガス発電機を導入する際には、必要な出力に対応しているか慎重に確認することが大切です。
デメリット2:本体価格がやや高い
LPガス発電機はディーゼル発電機よりも、本体価格が高くなりやすい傾向があります。前述のとおり製品ラインナップが限られており、生産台数もディーゼル発電機よりも少ないことから、1台あたりの導入コストが高くなりがちです。
また、設置場所や必要とする電力によっては、特注扱いで注文せざるを得ない場合もあります。導入時の初期費用がどの程度かかるのか、事前に見積もりを取り寄せておくことが重要です。
なお、後述するようにLPガス発電機の導入時には補助金を活用できます。導入コストの負担を軽減するには、補助金を申請するとよいでしょう。
デメリット3:保守点検・保安点検が必要
定期点検が義務付けられていることも、LPガス発電機を設置する際に注意しておきたい点の1つです。LPガス設備を設置している事業者には、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)」にもとづき、原則として4年に1回以上の点検・調査が義務付けられています。また、LPガス発電機に関しては電気事業法に則って年1回の保安検査も実施しなくてはなりません。点検の際には専門業者に依頼する必要があることから、点検にかかるコストをあらかじめ運用コストに織り込んでおくことが大切です。
災害時にガスを直接供給する「災害バルク貯槽」
災害に備えてLPガス発電機を導入する際には、「災害バルク貯槽」の設置もあわせて検討しておくことをおすすめします。災害バルク貯槽とは、LPガスを大量に貯蔵しておき、調理器具などのガス機器にLPガスを直接供給する設備のことです。ガスメーターや圧力調整器、ガス栓などの機構が一体になっている点に特徴があります。
たとえば、災害発生時には炊き出しや暖房、給湯などに多くのLPガスを必要とすることが想定されます。災害バルク貯槽を設置することにより、こうした突発的なLPガス需要に備えられる点がメリットです。また、貯蔵されたLPガスを平時にも利用できるため、施設や事業所などの基盤を支えるエネルギー源として役立ちます。
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LPガス発電機は補助金の対象
LPガス発電機の設置は、国の補助金の対象となっています。国は施設や事業所のBCP(事業継続計画)対策の強化や災害対策の推進に向けて、非常用ガス発電機の設置を推奨しているからです。
LPガスを燃料とする非常用発電機は、軽油を燃料とする発電機と比べて導入コストが高くなる傾向があります。医療法人や社会福祉法人がLPガス発電機を導入する際には、費用の1/2(中小企業の場合は2/3)を助成してもらえます。LPガス発電機が対象となる補助金については、次の記事もあわせてご参照ください。
LPガス(プロパンガス)補助金制度とは?補助率・申請方法を解説
LPガス発電機のメリットを活かした施設運営を実現しよう
LPガス発電機にはディーゼル発電機にはない多くのメリットがあります。保管・管理しやすく、災害時の電源供給に役立つLPガスの強みを活かすことで、災害に強い仕組みを構築できるでしょう。アストモスエネルギーでは、LPガス発電機の設置をはじめ、事前の現地調査や社内説明のサポート、適用可能な補助金の選定など、LPガス発電機の導入に必要な支援を行っています。LPガス発電機の導入を検討中の事業者様は、ぜひアストモスエネルギーにご相談ください。

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