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LPガス(プロパンガス)補助金制度とは?補助率・申請方法を解説

LPガス(プロパンガス)は災害に強く、停電時の電源確保などにも活用できるエネルギー源です。LPガス設備の導入は、補助金(自衛的燃料備蓄補助金)の対象となる場合があります。

この記事では、自衛的燃料備蓄補助金の対象となる設備・経費や補助率、補助金の申請方法についてわかりやすく紹介しています。LPガス設備を常設するメリットや、LPガスの使用料金を節約するためのポイントとともに見ていきましょう。

(※記事内に掲載の情報は、いずれも令和5年度補正予算・令和6年度申請分の条件にもとづいています。)

 

自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金(自衛的燃料備蓄補助金)とは

 

はじめに、LPガス設備の設置が対象となる補助金の概要を解説します。補助対象となる施設や設備・経費、補助率、申請方法について確認しておきましょう。

 

LPガス災害バルク等の設置が対象となる補助金

自衛的な燃料備蓄の推進事業補助金(自衛的燃料備蓄補助金)は、LPガス災害バルク等の設置が対象となる補助金です。LPガス災害バルクとはLPガスを大量に備蓄できる貯槽で、ガスメーターや圧力調整器、ガス栓などを備えている点に特徴があります。LPガス災害バルクを設置することで、万が一災害が発生した際にも安全かつ安定的にLPガスを供給でき、インフラの機能を3日以上維持することが可能です。また、平時には通常のバルク貯槽としても活用できます。

 

補助対象となる施設

自衛的燃料備蓄補助金の対象となる施設は次のとおりです。

  • 医療施設・福祉施設等(災害発生時に避難に困難が生じる施設)
  • 自治体庁舎・公立学校・公民館・体育館等(公的避難場所)
  • 商業施設・宿泊施設・事務所・工場等(一時避難所となり得る施設)

上記に該当する施設においてLPガス災害バルク等を設置した場合、設置にかかった費用の一部が補助されます。

 

補助対象となる設備と経費

自衛的燃料備蓄補助金の対象となる設備・経費として、次のものが挙げられます。

  • LPガス災害バルク貯槽またはシリンダー容器
  • LPガス発電機・空調機器・燃料機器・給湯器・簡易スタンドユニット
  • 上記の機器購入費および設置工事費

これらの設備等を導入することにより、電気や都市ガス、水道といったライフラインが停止した際に、施設の機能を3日以上維持できることが申請の条件です。また、シリンダー容器を除くすべての設備は購入したものでなければなりません。リースや貸与等によって設置された設備は補助金の対象外となる点に注意が必要です。

 

補助率

自衛的燃料備蓄補助金の補助率は、対象となる設備の設置にかかった費用の2分の1以内です。ただし、災害発生時の避難に困難が生じる施設のうち、中小企業者が運営しているものに関しては3分の2以内の補助率となります。

なお、自衛的燃料備蓄補助金には交付限度額が設けられています。LPガス災害バルク等の場合、一申請あたりの交付限度額は次のとおりです。

 

対象設備 交付限度額
1)バルク、シリンダー容器およびLPガス供給設備のみの場合 上限1,000万円
2)1とあわせて、LPガス発電機ユニット、空調機器ユニット、燃焼機器ユニット、簡易スタンドユニットを設置する場合 上限3,000万円
3)2のうち、LPガス発電機ユニットと空調機器ユニットを同時に設置する場合 上限5,000万円

 

申請方法

自衛的燃料備蓄補助金を申請する際には、一般社団法人エルピーガス振興センターのWebサイトより申請書式をダウンロードします。交付申請に必要な書類は下記のとおりです(LPガス災害バルク等の場合)。

  1. 交付申請書(様式第1)
  2. 申請日より3カ月以内に取得した履歴事項全部証明書
  3. 役員名簿(履歴事項全部証明書に代表者以外の記載がない場合)
  4. 直近2期分の決算報告書(個人申請の場合は直近2年分の納税証明書)
  5. 中小企業の除外規定に該当しないことを証明する書類(中小企業として申請する場合)
  6. 敷地全体配置図(平面図)
  7. 避難所として使用する場所の図面(平面図)
  8. 購入設備すべての配置図面(GHP室内機の設置場所を明記)
  9. 燃料消費量計算書
  10. LPガス販売事業者の「液化石油ガス販売事業者許可証」
  11. LPガス配管図
  12. 自家発電設備出力計算書(固定式発電機を導入する場合)
  13. 電気配線図
  14. 見積依頼書および見積書(明細含む。申請者が地方公共団体の場合は設計見積書)
  15. 福祉避難所として使用することがわかる地方公共団体との協定書等(該当する場合)
  16. 業務方法書第13条第2項に関する解説図と契約書(該当する場合)
  17. 災害時に一時避難所として使用することを明記した地方公共団体との協定書等(該当する場合)
  18. 賃金引き上げを表明したことを証明する書類(該当する場合)
  19. 「パートナーシップ構築宣言」書(該当する場合、共用申請者も含む)
  20. ワーク・ライフ・バランス等の認定等に関する書類の写し(該当する場合)

参考:一般社団法人エルピーガス振興センター|令和5年度補正予算・令和6年度 災害時に備えた社会的重要インフラへの自衛的な燃料備蓄の推進事業費補助金 申請ガイドブック

 

LPガス設備を常設するメリット

 

LPガス災害バルクをはじめとする設備の常設によって、具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。主なメリットとして、次の3点が挙げられます。

 

災害時の復旧が早い

LPガスは災害に強いエネルギー源です。ガスボンベに充てんした状態で長期間保存できるため、軒先在庫を常時確保できます。都市ガスが供給されていない地域でも、ガスボンベの配送さえできればすぐに利用できる分散型エネルギーであることは、LPガスの大きな強みの1つです。

災害発生時にライフラインが停止したとしても、設備の配管等の調査・点検が完了し次第すぐにガス設備を利用できます。このように、大規模な災害が発生した際にも早期復旧が可能であることは、LPガス設備を常備する大きなメリットです。

被災時における汎用性が高い

被災時にも熱源のほか、空調などにも利用できる汎用性の高さも、LPガス設備の大きなメリットといえます。LPガス発電機を活用することで、系統電源を使用することなく炊き出し設備や仮設風呂、冷暖房などに活用できるからです。

たとえば、電気が不要な大型ガスコンロやガス炊飯器、ガスストーブ、ポータブル型ガス発電機といった機器を用意しておくことにより、災害時にはLPガス災害バルクから各機器へとガスを供給できます。また、平時にも通常のガスコンロや給湯器などにLPガスを供給するなど、幅広い用途で利用できることが大きな特徴です。

 

停電時の電源確保に役立つ

LPガス発電機を設置することにより、停電時にもさまざまな電気機器を使用できます。1t型バルク貯槽が満タンの状態であれば、72時間程度に相当する電源の確保が可能です。

一例として、系統電源がダウンしている状況下でも、照明や冷暖房、通信機器を通常どおり利用できます。とくに介護福祉施設においては、医療機器や空調の停止が深刻な健康被害をもたらしかねません。そのため、2024年4月より介護事業所におけるBCP(事業継続計画)の策定が義務化されました。LPガス災害バルク等の設置は、介護福祉施設においてBCP対策を講じる上で有効な手段の1つといえます。

 

LPガスの使用料金を節約するためのポイント

 

LPガス設備を導入するにあたって、使用料金が気になっている方も多いのではないでしょうか。LPガスの使用料金を節約するためのポイントを押さえておきましょう。

 

ポイント1:給湯器の温度設定を見直す

ガス給湯器の温度設定を低めにすることで、給湯に必要なガスの使用量を節約できます。お湯の使用頻度が高い施設においては、1回あたりのガス使用量を抑える効果はわずかでも、積み重なることで大きな節約効果を生むでしょう。

また、休憩室などで少量のお湯を沸かす際には、電気ケトルなどを併用するのも効果的です。一般的に、電気ケトルは沸かす水の量が多くなるほど電気代も高くなります。少量のお湯であれば、ガス給湯器よりも電気ケトルのほうが使用料金を抑えられるケースも少なくありません。

 

ポイント2:ガスファンヒーターの暖房効率を高める

暖房設備としてガスファンヒーターを使用する際には、暖房効率を意識することが大切です。たとえば、部屋が暖まるまでの間だけガスファンヒーターを使用したり、サーキュレーターを併用して部屋の空気を循環させたりすることで、ガスの使用量を抑えられます。

また、ガスファンヒーターの設定温度を上げすぎないことも重要なポイントです。環境省では、暖房時の室温として20度を推奨しています。これは暖房機器の設定温度ではなく、室温を指している点に注意が必要です。省エネ機能を活用するなどして、必要以上に室温が高くならないようにすることをおすすめします。

 

ポイント3:LPガス会社を切り替える

すでにLPガスを契約している施設においては、LPガス会社を切り替えることで使用料金を抑えられる場合があります。LPガスは自由料金制のため、利用者が販売事業者を任意に選択可能です。まずは現在の契約条件や月々の使用料金を確認した上で、より使用料金を抑えられるLPガス会社を探してみてはいかがでしょうか。

アストモスエネルギーでは、石油燃料機器や電気設備からLPガスを燃料とした最新の高効率機器への転換により、エネルギー効率の向上や環境負荷の低減、設備の簡素化による経営改善の実現をサポートしています。LPガスの特長を活かした設備へと切り替えることは、コスト削減やBCP対策の実現にも効果的です。

 

自衛的燃料備蓄補助金を活用してLPガス機器を導入しよう

自衛的燃料備蓄補助金は、LPガス災害バルク等の設置が対象となる補助金です。介護福祉施設など、災害発生時に避難に困難が生じる可能性のある施設が補助対象に含まれています。災害に備えてLPガス設備の導入を検討する際には、補助金の申請もあわせて検討してみてはいかがでしょうか。

アストモスエネルギーでは、LPガス設備の設置に伴う現地調査や社内説明のサポートをはじめ、申請可能な補助金の選定に関するご相談にも応じています。事業者様向けに最適なプランのご提案もしていますので、ぜひアストモスエネルギーにご相談ください。

 

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